
| 学習支援 事例ご紹介 2004年夏期補習報告レポートより 夏期補習にいらしたお子さん達の最大の課題は「読書感想文」でした。 確かに読書感想文を書くには、 読む・考える・表現する・構成する等、 さまざまな国語の力が必要です。 特に、普段から国語を苦手とするお子さんにとっては なおさら難しく、試練と言っても過言ではないほどの宿題なのでしょう。 それでは、CASE Japan初の試みであった 夏期補習をどのように進めたのか、 ある一人のお子さんの事例を通じてご紹介したいと思います。 CASE Japanの活動のご理解につながれば幸いです。 |
* * * 感想文が課題といっても、いきなり感想文に取り掛かったわけではありません。 まずはなぜ、Sが感想文を苦手とするのか、どのようなやり方がSにとってわかりやすく、取り組みやすいかを探る必要があります。 それがわからなければ適切な指導ができませんし、感想文が出来上がったとしても、Sは自分で書き上げたという感じを持つことができなかったでしょう。 幸い、保護者の方は時間がかかってもじっくりと取り組むことに同意してくださっていたので、さまざまな国語力を見る中で上記にあげたような問題点を見出し、Sのペースに合わせて進めていくことができました。 * * * 特に長文を読むことに抵抗のあるSにとって、本を一冊読むということは非常に大変なことでした。 元々、集中力が続かない上に、読むだけでは完全に内容を理解できないのですから、話に引き込まれていくはずがありません。そこでまず、読む単元を決め、一文一文交代で音読してみました。 内容や語句の意味としてSには難しいであろうことは、短い説明を加えながら読みました。 この方法は、一冊というSにはいつ終わるか見通しがつかない量が、単元や一文という比較的見通しのつけやすい量に変化するため、Sには受け入れやすかったようです。 読み終えた後、非常に疲れた様子を見せたSは、読み終えたということで集中力が切れてしまい、やる気が半減してしまいました。 そこで、気分転換の時間を取った後、再度その単元がどんな内容だったかを何とかSに聞いて整理し、印象に残った部分を箇条書きでSに書いてもらいました。 もちろんその状況では、スラスラと書けないため、聞き取りながらこちらで書いたものもあったのですが、読めたということ、内容を理解できたこと、短いけれど自分の言葉で文章が書けたということが嬉しかったようです。 * * * 次の日には、Sの表現の乏しさを若干でもカバーできればと感情を表す言葉を使ったゲームを行いました。 まず、「楽しみ」「緊張」「ショック」等、いくつかの感情に対し、それを表現するときに使う「ワクワク」「ドキドキ」「ガーン」といった言葉(状態、台詞も可とした)をSにあげてもらいました。 そしてそれらを書き出した用紙を伏せ、あるリズムに乗ってテンポよく、一人が感情を言い、もう一人が続いてその表現を言う、それを交互に繰り返すということを行いました。 新しい表現や感情を思いついたら、それらも入れていいという決まりにしました。簡単そうに思えますが、咄嗟に言われるとテンポに乗ってはなかなか出てこないもので、頭の体操になりました。 また、新たな表現を身振り手振りを付けたり、感情を込めた言い方で返すとケラケラと笑い、面白がって自分も新たな表現を使うようになる等、表現がどんどん膨らんでいきました。 * * * そのゲームを行ったことで、Sの表現力が驚異的に伸びたということはありませんでしたが、その日以降、Sが自らさまざまなことを詳しく話してくれるようになったのは確かです。 * * * こうして、3日かけて、Sは目標である3枚の感想文を書き上げました。 原稿用紙が文字で埋まっていくこと、書いた文章が長くなっていくことにSは自信を覚え、励まされているように見えました。 この夏期補習で、私達が行ったのは子ども達に感想文を書かせることではありません。 感想文を書いたのはあくまでも子ども達であり、私達は、どのようにしたらその子が苦手とする部分を乗り越えて書けるかを考え、補助をしただけなのです。 2004年9月20日 関根 玲子 |
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